福岡市議会報告
2010年3月福岡市議会
安心・安全のための浸水対策を
平成22年度予算で計上した公共下水道整備費204億円の内訳は浸水対策に110億円、改築更新に44億円などとなっています。
昨年7月の豪雨では、床上、床下浸水など市民生活に多大な影響を及ぼしたことは記憶に新しいところです。床上といっても畳が濡れる程度で、これぐらいの浸水は無くす努力と計画が必要です。「浸水ゼロ作戦」を掲げ、理念を持って雨水対策整備に邁進することを求めました。
また、改築更新の対象となる市内の下水道管きょは約4600qに上り、道路陥没は年間約380件が発生しています。下水道管きょは経過年数が30年を超えると、一段と老朽化が進み、道路の陥没も急速に多くなるとされています。その30年を越えた管きょは平成20年度末で全体の28%にあたる約1300q、10年後には現在の2.5倍の約3100qと全体の67%を占めるようになります。
下水道管きょが破損してしまうと交通渋滞や市民生活の停滞など大きな影響を及ぼすため、しっかりした維持管理が必要です。先般起きた東区香椎での下水道の事故が物語っています。
30年を経過した管きょを対象に、福岡市は平成5年度からテレビカメラによる調査を実施しておりますが、平成21年度までで約810qの点検に留まっています。
今後、改築更新費用の増大が予想されますが、予算確保とともに、計画性ならびに職員の技術力も欠かせません。
技術の継承に外郭団体の活用を
福岡市の土木職職員の退職者数は今後5年間で185人に上り、総数990人の2割弱に相当します。福岡市もノウハウの継承などに取り組み、道路・河川・下水道・技術管理の4部門にOB職員を嘱託として採用して指導育成に取組んでいます。
他都市においては、下水道事業関連の外郭団体を活用している事例があり、大阪市は昭和53年に「財団法人大阪市下水道技術協会」を、東京都は同59年に「東京都下水道サービス株式会社」を設立し、下水道施設の維持管理、下水道に関する研究や各種調査業務等にあたっています。
退職される経験豊富な職員の技術力は貴重な財産であり、技術の継承が重要です。福岡市においても行政内部の効率化や研修等だけでなく、外郭団体を活用する体制か、今ある外郭団体に機能を付加していく体制などを検討するように要望しました。
外郭の改編はトップダウンで
私・うちこしはかねてから、外郭団体の整理・統合や役割の見直しを求めてきました。福岡市は本年度から2ヵ年で、第2次外郭団体改革実行計画の対象である34団体すべての経営評価を行なうことにしております。
うちこしは、本年度「法人のあり方を検討する団体」に位置付けられている財団法人福岡アジア都市研究所を例に挙げ、財団型自治体シンクタンクは転換期に来ているとして、企画調整部にシンクタンク機能を持たせるような行政内部型の組織に移行するなど、思い切った改革が必要ではないか、と当局に見直しを迫りました。
廃止すべき団体は廃止し、下水道事業は公の責任として、技術の継承を含めて新設したり、既存の団体と再編するなど、スクラップ・アンド・ビルドが必要です。この判断はトップダウンで進めていくべきとして、最後に吉田市長の考えを問い質して、質問を終えました。