うちこしよりご挨拶 2023年1月
2023.01令和5年1月
「いま、地域が求めていること」から、
子や孫の世代の将来ビジョンを描く
子育て・教育、若年世代の雇用安定化、少子高齢社会の備え、快適なまちづくり――など私たちの周りには様々な課題が横たわっています。地域のみなさんの声に耳を傾け、「いま、地域が求めていること」から対話を重ねて実践し、みんながイキイキと暮らせるような(まち)にしていきたいと考えています。
まちづくりと交通
1. 井尻駅の高架化とまちづくりの再起動
西鉄井尻駅の高架事業は、私うちこしの最重要政策ですが、国庫補助の前提となる費用対効果(B/C)が見込まれないとして事業着手が見送られています。補助を受けるにはB/Cは1を超えることが前提条件とされています。
井尻地区は、表①(リポート51号参照)の費用対効果にあるように0.58にとどまり、条件をクリアできませんでした。しかし試算の便益の対象は、①移動時間短縮(自動車および歩行者・自転車の移動時間)②自動車の走行経費減少(燃料費、タイヤ費等)③交通事故減少(踏切事故解消、人的・物的損害、事故渋滞の解消)、の3点のみでした。
地元の皆さんを中心に私たちが訴えてきたのは、踏切事故や交通渋滞の減少にとどまらず、鉄道によって分断された井尻駅周辺を活性化するまちづくりでした。駅周辺の道路が狭く、交通結節のための空間もなく、バス路線も減少しています。歩行者の安全面や防災面の課題もあり、高架化による井尻地区全体のまちづくりが目的です。
国家国民を守るための国土強靭化対策の観点から言います。と、高架鉄道や駅前広場、新たに整備される道路は「避難路・救援路」に活用できますし、災害に対してしなやかな国土にする「地方分散化」にもつながります。とりわけ福岡西方沖地震(2005年)は警固断層帯の延長上で発生しており、井尻駅地区はその断層帯上にありますが、その被害を想定したうえでの防災・減災効果は一切、考慮されていません。
警固断層帯で、国の地震調査研究推進本部が想定するマグニチュード(M)7.2の地震が起きた場合、福岡市内で全壊する木造住宅は市が公表する「揺れやすさマップ」に基づく被害棟数の5倍に上ると分析されています。九州大学工学研究院の研究室(地域防災計画)がまとめたもので、東日本大震災後に更新された最新データを反映した見直しが必要と指摘されています。
被災後の住環境は災害関連死など命にかかわるだけに、仮設住宅や災害公営住宅などの確保が重要な政策課題となり、事前に用地の調査選定から設計まで済ませておく必要があります。
まちづくり期成会は、2012(平成24)年度から3カ年にわたり、井尻地区の将来像について検討を重ね、「井尻地区まちづくり計画書」を策定。2016年6月、期成会の会長以下役員の皆さんが3,000名を超える署名とともに、西鉄天神大牟田線井尻地区における連続立体交差化の早期実現を求める請願を市議会へ提出し、同年12月議会において全会派一致で採択されております。この採択には重いものがあります。
井尻駅の乗降客数は、1日あたり約2万3000人と天神大牟田線の駅の中では5番目に多く、雑餉隈駅の比ではありません。交通結節点としての役割は大きく、南区の拠点としてのポテンシャルは高いものがあります。引き続き、連続立体交差化の実現と井尻地区のまちづくり実現に努めてまいります。
2. 井尻六ツ角交差点に横断歩道橋(EV付)新設
井尻六ツ角交差点は、変則的な交差点であることから歩道を挟んで連続した2つの横断歩道があります。お年寄りや子供連れの方が1回の青信号で渡り切れず、次の青信号まで長い時間を待っておられます。信号サイクルの調整とともに、エレベーター付きの横断歩道橋の設置が求められます。横断歩道橋の設置には、実現までには時間がかかることから、現在の車両と歩行者の通行状況について、実現に向けた調査予算を要望しています。
歩道橋新設に先立ち、歩行者にやさしい道づくりの観点から、横断歩道の段差解消に向けた試験施工に入ります。
3. 五十川新池公園整備
JR笹原駅や西鉄井尻駅が位置する宮竹校区には、幅広い世代で多目的に利用できる公園がありません。地元の方々が、農業用ため池の用途廃止になった五十川新池を、運動ができる公園、防災機能を持つ公園、周辺住民に配慮した公園整備ができないかなどの検討を重ねてこられました。2022年12月、高島市長あてに公園整備の要望書を提出されました。市側の案では2029(令和11)年完成予定となっておりますが、あまりにも時間がかかりすぎると数年以内の早期完成を働きかけています。
4. 生活交通
人口減少と自家用車の増加で、人口低密度地域の路線バスは継続不可能なところまで利用者が低下しています。高齢化もありバスもタクシーも運転者が減少。南区の老司・鶴田・弥永西・弥永・日佐校区でもより効率的な運行が可能なオンデマンド交通(注1)の社会実験が始まっています。
また、高齢者乗車券や福祉乗車券の交付額をアップする必要もあります。
(注1) 時刻表がなく電話やインターネットで予約。複数の利用者の目的地や時刻の希望をAIを活用した専用システムによって処理し、目的地までの効率的な走行ルートを作成し運行する。
少子高齢社会の備え
高齢者の皆さんがイキイキと暮らす
私たちがいつまでも元気でイキイキと暮らしていくためには、地域で健康づくりや介護予防の施策を強化していくことが大切です。そして、イキイキと活動するための福祉乗車券や福祉バスに加えて、新型コロナ等の感染症に配慮しながらも「私たちの心がつながる」サロンなどの居場所が求められています。
また、仕事をしたい人にはシルバー人材センターだけでなく、民間企業への就職、起業などをしっかりとサポートする仕組みも必要です。
若年世代の雇用安定化
1. リスキリングで就職支援
リスキリングとは、働き方の変化によって今後新たに発生する業務で役立つスキルや知識の習得を目的に、勉強してもらう取り組みのことです。デジタル化が進み急速に変化していく中で、企業の取り組みとして注目されています。ハローワークや専門学校と連携して個人負担がなく、スキルを身に着ける福岡市独自のシステムが求められています。
2. 若者の雇用安定化と収入アップ
晩婚化や未婚化が進行し、出生率が低くなっています。育児と就業の両立が難しいことや夫の育児への参加が少ないこと等子育て支援サービスや働き方に関する問題もありますが、まず、若年世代が希望通りに結婚し、子供を産み、育てられるような経済的基盤が必要です。そのためには、非正規雇用など厳しい環境にある若年世代の雇用安定化施策を推し進めることです。正規雇用ができるように企業の指導・育成、誘致政策が求められています。
福岡市議会議員(南区) うちこし基安(もとやす)